Voyage to Crafts ものづくりのであい “木工家・酒井航”

ものづくりの種は人と人の出会いから生まれる。
福岡市内から海岸沿いを西へ。風光明媚な糸島の自然を分け入り辿り着くのは、芳醇な木々の香りに囲まれた空間。
木工家・酒井航さんの主宰するDOUBLE=DOUBLE FURNITURE アトリエを訪ねました。

木工家 酒井航さん
2025.12.13

photo: Masahiro Sakabe
text: Yuko Enjoji


福岡県糸島市にある工房は、天井が高く、整然とたくさんの機械が並んでいる。

ここで生まれるのは、家具やテーブルウェア、そして日々の暮らしに寄り添う小さな道具たち。


この日酒井さんは、木のスプーンの制作とランプシェードの削り作業をしていた。



四角い木片を大まかな輪郭へと切り出し、そこから少しずつ削り落としていく。




削る、確かめる、また削る。その繰り返しのなかで、木は形を変えやがて柔らかな輪郭を帯びていく。


スプーンの口に触れる部分は、口当たりを最優先に考え、やすりの機械で磨き仕上げる。
ここでも手に取り、指先で確かめ、また削る。その工程を何度も繰り返す。
木は、一度削れば戻らない。だからこそ、動きは慎重で、正確だ。

やすりの機械は、美しさを生む一方で使い方を誤れば大きなけがにもつながり一瞬たりとも気を抜くことは許されない。

そうして完成したスプーンには、緊張感に満ちた工程からは想像できない、やわらかさと、なめらかさ、そして木そのもののあたたかみが宿っている。

食卓に並ぶ頃には、その背景にある時間のことなど忘れてしまうほど、自然に、暮らしに溶け込んでいく。

Directer's Note
Nozakiのひとりごと
酒井さんとの出会いは熊本の大切な友達、陶季さんの紹介でした。
彼女は茶道家で器と茶道具を扱っている目利きの人。
彼女が福岡・糸島に木工の良い職人がいるから会いに行こう、ということで京都から茶道家の友人・若ちゃんを呼んで一緒に工房へ伺ったのが縁です。

酒井さんは熱心に物作りをされている姿が すがすがしく、良い男だなあと思ったのを想い出します。
その酒井さんが作る物達は目で見て良し、使ってみてまた良しと思える作品です。
monologue by Masamitsu Nozaki
TIGRE BROCANTE Brand Director
PROFILE

DOUBLE=DOUBLE FURNITURE
木工家 酒井航
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「手仕事による機能美を表現したものづくり」
作り手と使い手の両目線から、暮らしに溶け込む道具を創っています。 機能美から表現される、無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインで高品質なものづくりを追求しています。
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